「マインドフルネス」はリラクゼーション法のひとつで、ストレスの溜まりやすい現代社会において注目を浴びるようになりました。
その背景には、仕事にはつきものの人間関係における悩みに加え、スピードがより求められる今、肉体以上に精神的に疲れ切っている方が増えている傾向があります。
マインドフルネスの定義と実践する上でのメリット、方法やコツを学んで実生活に取り入れていきましょう。
1. マインドフルネス瞑想とは?
マインドフルネスは今おこなっている「呼吸」に集中し、自身を過去の後悔や未来への不安からのストレスから開放する瞑想の方法です。
それによって精神的安定、さらに脳が活性化された状態を作り上げることも可能です。
画期的な効果から日本の企業や官庁、NPO法人が導入しているほか、一般の方向けの書籍も多く出版されています。
マインドフルネスは1979年、マサチューセッツ大学のジョン・カバット・ジン博士によって開発された、禅やヨガの瞑想をベースとしたストレス低減法です。
ここまで広がるようになったのは、世界的規模の米IT企業であり、高いクリエイティビティが求められるGoogle社が能力開発のプログラムへ採用したことがキッカケでした。
記事の後半でお伝えするマインドフルネスの方法はグーグル社内で開発された、SIY(Search Insite Yourself)という手法です。
2. マインドフルネス瞑想による5つの効果
マインドフルネスは脳科学に基づいたいくつもの研究なされており、私達の生活にストレスの軽減をはじめとした効果が実証されています。
主な5つの効果について学んでいきましょう。
①集中力UPによる生産性の向上
マインドフルネスは「今」に意識を向けますので、継続して取り組むことで仕事や勉強などへの集中力を高めてくれる効果があります。
スピードはもちろん精度や品質も改善され、生産自体の向上が期待できます。
国内大手メガネメーカーのJINS社が、アイウェアを用いてマインドフルネスの効果を検証したところ、実践後は注意力がそれてもすぐに戻るという結果が得られました。
(2017年1月18日 JINS MEME OFFICE BUSINESS SOLUTIONSにて)
②感情に偏った判断が減り、精度が上がる
ストレスは脳機能、特に脳全体の約1/3を占める前頭前野に強い悪影響を及ぼします。
前頭前では感情や衝動的な行動を抑制する働きがあるのですが、ストレスが溜まってしまうとそれが抑制されてしまいます。
その結果、生理的な欲求や感情を司る部位が優位に働いてしまい、怒りやすくなったり暴飲暴食といった行為に及びやすくなります。
マインドフルネスによってストレスを軽減させることで、脳本来の機能が活性され、自身のコントロールが上手くいくようになります。
③他者への思いやりができるようになり、人間関係が良くなる
心理的安定と身体にリラックスをもたらしてくれることで、精神的に余裕ができるため、人間関係により寛容になれます。
ネガティブな情動が起こった時も、瞑想することで自身を客観視でき、あるべき自分の姿へと導いてくれます。
マインドフルネスはアンガーマネジメントにおいても、SBNRRという代表的な手法などで用いられています。
④創造力が高まり、アイディアが思い浮かぶ
先述した前頭分野は抽象的な思考をする神経と密接に関係していますので、創造力の向上にも効果があります。
アイディアは脳内の既存の情報の結びつきによって生まれるものですので、それを改善し、さらにマインドフルネスは身体をリラックス状態にさせてくれます。
心身双方へアプローチしてくれる点も取り組むメリットといえます。
⑤寿命が伸びる
人間のDNA内にはテロメアという細胞分裂の寿命に関わる塩基配列、細胞のロウソクのようなものが存在しています。
精神的ストレスが多い人は細胞を酸化させ、テロメアを消費させてしまう傾向にあります。
つまり、ストレスを溜め込まないことは若々しく生きると同時に寿命を伸ばすことにつながります。
実際にカリフォルニア大学の研究でも、マインドフルネス瞑想にテロメアの老化スピードを遅らせる効果があることがわかっています。(出典:https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/29518528)
長生きする職業のランキングを見ると、医者ではなく瞑想や写経が日課になっている僧侶が1位なのも納得がいきますね。
以上がマインドフルネスの主な効果ですが、ビジネスパーソンや忙しい主婦の方にとってはかなり嬉しいものが多いですね。
マインドフルネスは実践のしやすさも抜群ですので、次項からやり方を紹介していきます。
3. マインドフルネスの実践方法
それではいよいよマインドフルネスの実践方法について学んでいきましょう!
マインドフルネスは大きく4つのプロセスに分かれており、最後のプロセスへ達したらまた最初に戻るというサイクルを繰り返し行います。
①目をつぶって呼吸に注意を向ける
②注意がそれたり、雑念が湧く
③注意がそれたことに気づく
④雑念を手放す
全体的な流れが分かったら、すぐさまプラクティスに取り組みマインドフルネスを体験してみましょう。
1.椅子にリラックスできる姿勢で座る
2.両手を太ももの上に載せる
3.目を閉じて2~3回、大きく深呼吸する
4.鼻から息をゆっくりと吸って、鼻から吐く
5.吸うときは、キレイな空気が体内に入るイメージで行う
6.呼吸と肺や胸、お腹が連動していることに集中する
※呼吸の数を数えることに集中してもOK
7.さらにお腹の膨らみや呼吸の浅さ・深さを注意深く観察します
8.呼吸を観察する過程で、雑念や注意がそれたことに気づけます
9.注意がそれたら再度呼吸に意識を戻す、5~10分間繰り返します
10.目を開けたら何もせずに1分間、瞑想での体験を振り返ります
実践すると次々に雑念が湧いてきて短時間で目を開けてしまいますが、最初からできる方は少数ですので、長く続かなくても大丈夫です。
まずは呼吸をする中で、自分を客観的に観察することを優先して意識し、もし雑念や思考が湧いたら頭の片隅に置く練習をしていきましょう。
また、自宅で瞑想をする際や腰に負担を欠けたくない場合は、椅子ではなく床の上であぐらや正座、半跏趺坐で行ってもよいです。
4. マインドフルネスを継続するコツ
どんな優れたリラクゼーションのメソッドも、継続しなければその効力をフルに体感することはできません。
以下の3つのコツを心がけて、まずは続けることに意識を向けるようにしましょう!
1.目標を高く設定しすぎない
最もモチベーションが高いのは、マインドフルネスをはじめる直前という場合が多く、それと同時に「毎日10分は絶対にやる!」といった目標を掲げてしまいがちです。
そこまで気合を入れず、「1日1分だけやる」などあえて目標を低く設定しましょう。
達成できずに落ち込むのではなく、小さな成功を積み重ねていくことが大切です。
また、呼吸に集中できる時間は自分の状態にもよりますので、「自身のコンディションに気づく」という位置づけで取り組むのもオススメです。
2.既存の習慣の前後に行う
いきなり新しい習慣をはじめて、それを日々の生活に定着させるというのは意外にも難しいものです。
そこでオススメなのは今している習慣、例えば朝にコーヒーを飲んだり、寝る前にお風呂に入るなど、その前後にマインドフルネスを組み込むことです。
そうすれば「ついつい忘れてしまった」を防げますし、連続した行動になることで、取り組むハードルを下げられます。
3.場所と時間を決める
お気に入りのソファや椅子、畳の間など家の中でも落ち着けるスポットを見つけてマインドフルネスをする場所として固定しましょう。
その場所へ行って座るだけでスイッチが入りますし、お香・アロマや座布団・マットといった専用のアイテムを用意すればより集中できます。
間接照明を使って、部屋の明かりを落としてみるのもよいでしょう。
環境や道具を上手く活用するのも継続のコツのひとつです。
4.専用アプリを使う
さまざまなマインドフルネスの実践と継続の手助けをしてくれるアプリが、各社より開発・リリースされていますので、それらを活用するのいいでしょう。
マインドフルネスのアプリには、リラックスできるBGMの再生やどういう手順で行えばいいかを案内してくれる音声ガイドといった機能がついています。
5.記録する
いつ、どのくらい実践したのかを記録しておくと、モチベが下がっている時に見返すと「せっかく継続してきたんだし、今日もやろう!」という気分にさせてくれます。
カレンダーにマインドフルネスをした日は印をつけるのでも良いですし、TODOリストに加えるのもいいでしょう。
5. マインドフルネスで心に余裕がある毎日を送ろう
「そもそもマインドフルネスって何?」といった疑問から、具体的な方法や継続のコツなどについてお伝えしてきました。
一見難しそうなイメージを持っていた方も、意外と実践しやすく、今日からでも出来るリラクゼーション法だと感じたのではないでしょうか。
マインドフルネスは効果を比較的早い段階で体感しやすいでの、まずは少しの時間でいいですから、目をつぶって瞑想してみることからはじめてみましょう!
継続することで得られるメリットはかなり大きく、平日は仕事で忙しくても、休日も行うことで質の高い休暇が取れるようになります。