・はじめに
腰が痛いときあなたはどうしますか?
みなさんそれぞれの対応をしていると思います。
腰を温める、湿布を張る、体操をする、マッサージをしてもらうなど様々です。
まず、伝えたいことがあります。腰痛を緩和するためにすべきことは1人1人原因が異なるため様々な対応が必要です。
また、原因は腰だけでない可能性が高いことが多いです。
つまり、いくら腰をもみほぐしても一向に治らないことがあります。
その時は良くなっても次の日にはまた痛くなることもあります。
そのため、腰痛患者は何が原因かを追究し、その原因に合わせた治療法が必要です。
今回は腰痛の概要について説明した後にどんなリハビリがあるのかを伝えていきたいと思います。
・急性腰痛と慢性腰痛
腰痛には痛みが発生してからの期間によって急性腰痛と慢性腰痛に分けられます。
まずは急性腰痛について説明します。
急性腰痛
急性腰痛では一般的に腰に痛みが生じてから4週間以内に治まるものを言います。
痛みの種類としては急激で激しく、ズキズキしたような痛みです。
感覚的には擦り傷や、虫歯のような顔をしかめる痛みです。
急性腰痛は病名がはっきり分かり、整形外科に受診すると診断名が付きます。
レントゲンやMRIなどの画像検査で特定できることが多いです。急性腰痛で最も有名な診断名はぎっくり腰です。
専門用語では腰椎捻挫と言われています。
それ以外に有名なものとしては椎間板症、椎間板ヘルニア、椎間関節症、脊柱管狭窄症、外傷や圧縮ストレスによる圧迫骨折、などが挙げられます。
それぞれの疾患によって治療法や日常生活で気を付ける姿勢や動き方が変わります。もし、腰が痛い人で急性腰痛の疑いがある場合は適切な医療機関に受診し、原因を特定することが大切です。
慢性腰痛
次に慢性腰痛について説明します。
慢性腰痛では腰の痛みが3カ月以上続いている状態のことを言います。
痛みの種類としては鈍く、重たい痛みです。感覚的には筋肉痛のような重だるい状態をいいます。
痛みが強くなったり弱くなったり、いつの間にか腰痛となっているなど曖昧なことが多いです。
また、特定の原因がないことが多く非特異的腰痛とも言われています。
先ほどの診断できる腰痛は特異的腰痛と言われています。
非特異的腰痛では画像検査で診断できないものをいいます。
実はこの非特異的腰痛が腰痛患者全体の80%と報告されています。
つまり、原因不明の腰痛患者が8割もいるのです。
この非特異的腰痛には筋・筋膜性腰痛、姿勢の歪み、ストレスなどの心因性によるものがあります。
これらは画像検査では見つけることができず原因不明とされます。
・腰痛のリハビリ
ここからは腰痛患者のリハビリについて説明します。
まず、前提として腰痛患者にはリハビリなどの運動を行ってはいけない場合もあります。
痛みが強すぎる、腰からつま先にかけての痺れが激しい人は病院で受診し安静にする必要があります。
また、急性腰痛に関しては4週間安静にすることで痛みが治る可能性があります。
特定の疾患名を受けていればその疾患名に沿った治療で緩和することが多いです。
そのため今回は全体の8割を占める非特異的腰痛の筋・筋膜性疼痛に対するリハビリについて伝えていきます。
筋・筋膜性腰痛についてのリハビリ
筋・筋膜性疼痛による腰痛は筋肉や筋膜が原因で生じている痛みのことです。
簡単に説明すると筋肉・筋膜がいつも頑張っている状態になってしまっているため、硬くなり痛みが生じます。
姿勢の歪み、重いものを持ち上げる様な動作を繰り返し行っている場合は筋肉・筋膜に常に負荷がかかってしまいます。
そうすることで、筋肉が休む時間がなくなりカチカチに固まってしまっている状態となります。
こうなると、痛みが発生しやすくなり、痛い時間が長くなれば長くなるほど神経学的な要因で痛みがどんどん広がってしまいます。
これが、筋・筋膜性腰痛の概要となります。
筋・筋膜性疼痛が原因によって硬くなる筋肉でよくある部位は腰部の腸肋筋、腰方形筋、股関節・仙腸関節周囲の大殿筋(特に上部繊維)、大腰筋、梨状筋です。
これらの筋肉をストレッチ、筋膜リリースを実施していくと楽になります。
様々な姿勢の患者さんがいますが腰を反っている姿勢の人は大腰筋が硬いことが多いです。
大腰筋は腰から股関節まで付いている筋肉です。この筋肉の作用は腰椎の伸展で腰を反る時に活動します。
ストレッチ方法としては膝立ち位で伸ばしたい方の反対の足を大きく前に出します。
そこから、お尻を下に下げていきます。この時に腰を反らずに真っすぐかやや腰が曲がっている姿勢をキープすることで大腰筋が伸長できます。
徒手的にリラクセーションを行う方法もあります。
お臍から指3本から4本ぐらい横に手を置きます。腹直筋を避けるようにお腹の中に指を入れていくとコリコリしたものを感じると思います。
寝ている姿勢で両膝を軽く曲げた状態でその場所をぐりぐり押してあげることで筋の循環を図ることができます。
患者さんによって硬い部分は異なります。
硬い部分が異なるとアプローチも変わります。まず自分はどこが硬いのかを確認し、そこに対してアプローチをしてあげる必要があります。
そして、大切なことは筋肉を柔らかくするだけではありません。その後に、そこを使いすぎないようにすることが重要です。
大腰筋が硬い患者さんの場合は腰が沿っていることが多いです。
腰が反るそもそもの原因としては
・肩甲骨が外に開いて前に傾いてしまっている・
・膝関節が伸びない
・足首が硬いなどの姿勢の歪み
・体幹前面筋やインナーマッスル、広背筋・菱形筋・僧帽筋中部と下部繊維、大殿筋、下腿三頭筋などの筋力低下
などが原因になります。
その患者さんにより原因が異なるため評価が必要です。
・まとめ
腰痛といっても色々な症状・原因があります。
まず自分がどんな腰痛のタイプなのかを知ることが重要です。
病院で治療を受ける必要があるのか、運動やマッサージで治るのかが分からないと始まりません。
慢性腰痛の筋・筋膜性腰痛であれば自分の使いすぎている筋肉や弱い筋肉を把握してアプローチを行っていきましょう。
正しい知識を持って、腰痛に負けない身体を作っていきましょう。