もうやめたい!【アルコール】依存症からの脱却方法まとめ

世界で飲酒しない人は約31億人(成人人口の57%)で、飲酒している人は約23億人います。

その中で、アルコール依存症の患者数は、推計2億8300万人と言われていています。

日本全国では、100万人超、予備軍は440万人にもなると推定されています。

アルコール依存症は比較的身近な病気で、習慣的にアルコールを摂取する人であれば、誰でもなり得ることを知っておきましょう。

アルコール依存症とは?

長い間、大量にアルコールを摂取することによって進行し、仕事や家庭よりも飲酒を優先させるようになる怖い病気です。

特に、アルコールを摂取する量やタイミングを、自分でコントロールできなくなり、アルコールによって脳に異常が引き起こされて、飲むことをやめられなくなったコントロール不能の状態です。

どんな症状?

初めは単なる習慣のように飲んでいるだけでも、お酒を飲まないと気分が晴れなくなっていき、お酒に頼ることが増え、周りに暴力も振るうようになってきて、少量のお酒では、物足りなくなっていきます。

体内のお酒が切れてくるとイライラして、不安になって、手が震え、夜眠れなくなり、大量の汗をかくなどの症状が出てきます。そして、苦しくなっていきます。

一度お酒を飲み始めたら、ひたすら飲み続け、食事もしないで、アルコールだけを飲む生活に変わっていきます。

危険な飲酒量はどのくらい?

「節度ある適度な飲酒」とは男性 (30 歳~64歳) の場合、純アルコール量換算で1日20g以下です。

これは、ビール (アルコール率5%) 500ml相当です。

アルコール量

日本酒 (15%) であれば 1合弱、
焼酎 (25%) なら 100ml、
ワイン (12%) なら 2杯、
ウィスキー (40%)なら 60mlです。

女性や高齢者の場合、男性よりも小柄で肝臓も小さく、体内の血液量も少ないため、

アルコール量

ビール 250ml相当です。
日本酒であれば 1/2合弱、
焼酎なら 50ml、
ワインなら 1杯
ウィスキーなら 30mlです。

1日の飲酒量がこの3倍以上になると「飲みすぎ」となり、

アルコール依存症になるリスクが高まることになります。

単純計算すると1日にビール 3本、

日本酒 3合弱、

焼酎 300ml、

ワイン 6杯程度となれば、お酒に弱い人でない限り、ついおいしく飲んでしまう範囲でしょう。

おいしいお酒を控えることは難しいことですが、毎日これだけの量を飲み続けてしまうと、アルコール依存症には徐々に近づいていることになります。

原因はエチルアルコール

お酒に強い人ほどアルコール依存症になりやすいことも分かっています。

それは、アルコール依存症が日常的に飲酒することによって進行する病気なので、飲めば飲むほど、リスクは高まっていくからです。

その原因となるのが、アルコール飲料に含まれているエチルアルコールという成分。

この物質が脳に酔いをもたらし、同時にアルコールに対する「依存」をも引き起こしていくのです。

アルコールは麻薬や覚せい剤と同様の、依存性の高い薬物ともいえます。

MEMO

依存症の英語訳は「addiction」で、ラテン語の「addictus = ゆだねられる、奴隷として縛りつけられる」に由来します。
砂糖依存症、スマホ依存症、恋愛依存症、買い物依存症など、何かに依存した経験のある人なら、この言葉の意味や、やめようとしてもやめられない感覚をイメージできるでしょう。

依存のプロセス

依存のプロセスは、「耐性の形成」から始まります。

機会あるごとに飲むことで、脳がアルコールに慣れていき、、、今まで摂取していた量では物足りなく感じるようになり、、、

摂取量はどんどん増えていきます。そして「精神依存」の段階に突入。

酔いを求めて飲んだり、リラックスするためにお酒が必要となったりして

生活の中でアルコールを摂取することの優先順位があがっていきます。

依存症の初期段階 

飲酒が継続しアルコールが体から抜けてくると、アルコール依存症の「離脱症状」が出てくるのですが、これこそが依存症の初期段階です。ていくうちに、「身体依存」も進みます。

飲酒量が増えた
飲むスピードが早い
飲む時間が長い
飲まないと、離脱症状が起こる

このような症状が当てはまるとしたら、アルコールへの依存度が高くなってきていると理解しましょう。

離脱症状とは・・・
イライラ、落ちこみ、発汗、微熱、不眠、手の震えから、全身の震え、さらに幻覚や、アルコールてんかんと呼ばれるけいれん発作を起こすことです。

コントロール不能

でも、このような不快な離脱症状は、アルコールを摂取することでピタッと止まります。

これが怖さですね。

「飲みたいスイッチ」が入って、、、

そうなったらエンドレスに、我慢することもできず、1 杯だけならいいだろうとまた飲み始めてしまう。

夕方になると早く飲みたくてそわそわと集中できなくなり、やがて、朝から飲んでいないと極度の不安に襲われたりして、、、依存は簡単に、ますます進んでいきます。

病気の進行につれ、離脱症状もひどくなっていくわけですから、既にもう、抜け出すことが出来ない程に、蝕まれてしまっている状態です。

飲み過ぎないこと

離脱症状が出る前であっても、なんとなく危ないかも、、、と感じることができたなら、チャンスです。

なんとかしたいと思う気持ちがあれば十分です。

多少苦しいでしょうが、必ず、正常な状態に戻ることができます。

アルコールは、「百薬の長」「万病のもと」とも言われるように、飲んで良い飲み物で、私たちに良く作用してくれることもあります。

つまり、飲みすぎなければ、飲んで良いものなのです。シンプルに考えて、脱却4か条に取り組んでみましょう

簡単な脱却4か条

思いついた時から、簡単にできるアルコール依存症からの脱却方法の紹介です。

1. 【計る】

利尿作用のあるアルコールに対して、水分もたっぷり補給し、アルコールを体外に排出しやすくするために、お酒と水を交互に飲む

2. 【守る】

空腹で飲むと素早く吸収され、血中アルコール濃度が急上昇するので、低脂肪タンパク質の刺身、蒸し鶏、豆腐、枝豆、鍋物の魚介なども食べながら、一緒に飲む

3. 【選ぶ】

ビールの泡が胃腸の粘膜を刺激して、次に飲むアルコールの吸収を良くするので、アルコールの種類を変えて気分も変えて飲む場合には、その適量を思い出しておく

4. 【空ける】

週に2日はお酒を飲まずに、自分の体をいたわる。

それから、談笑しながら、楽しく飲むことも思い出しましょう。

飲んでも飲まれるな

その他には、こんなデータがあります。

<25歳~27歳の晩酌癖>

若い時からの晩酌の習慣が、圧倒的に依存症になりやすいことが分かっています。

それは新陳代謝もよく、細胞にも活力があり、アルコールに慣れやすい柔軟性が備わっているからです。

いつの間にかアルコール許容量を増やしてしまうことにもつながるので、「大量飲酒」は絶対に避けなければなりません。

<高齢者のヤケ酒>

定年退職後のアルコール依存症も非常に多くなっています。

齢を重ねれば、職業、地位、名誉、財産、知人、仲間、配偶者など、次々と失って行くものもあるでしょう。でもその度に、その喪失感から「逃避的飲酒」を起こさないようにしたいものです。

<女性のキッチンドリンカー>

女性はノイローゼ気味に摂取する人が多くなっています。

夫や子供の世話に一生懸命になるあまり、我を忘れてしまうこともあるからでしょうか。

その忙しなさから、お酒の力で帳消しにしようとする試みは、絶対にやめましょう。

 

以上、自分でできる克服の方法でした。

病院で直す

自力で何とかできない場合もあります。

そんな場合には、迷わず、頼りましょう!

頼れる先とは、各都道府県にある精神保健福祉センター、断酒会などの自助グループ、精神科や心療内科の病院やクリニック、専門医療機関のソーシャルワーカーなどです。

こんなにもたくさんの患者さんがいるのです。

そしてそれを克服する最短・最良の方法があって、プロもいるのですから、悩んでいる時間は無駄も同然です。

以下、「アルコール治療ガイドライン」より抜粋して、治療のプロセスをご紹介します。

期ごとに 青枠、白抜き 希望です。

 

導入期】:初回面談~断酒開始前

アルコール依存症が病気であることを患者さんに認識してもらう。

医師、家族や周囲の方などからの働きかけにより、患者さんが治療に意欲を持って取り組んでいくための動機づけが行われます。

【解毒期】:約3週間

断酒を開始し、治療への動機づけをさらに強化するとともに、離脱症状やその他の臓器障害、合併精神疾患の診断、治療を行います。

およそ3週間程で症状が治まり、体調が落ち着いてくると、断酒していくための精神療法が始まります。

【リハビリテーション前期】:約7週間

心身の健康がある程度回復したところで、リハビリテーションが開始されます。

飲酒に対する考え方や行動を見直すための精神療法を受けたり、創作活動やレクリエーション活動を主体とした集団活動プログラムに参加したりして、退院後の日常生活を送るための訓練を積みます。

【リハビリテーション後期】:退院後~一生

リハビリテーションを終えて退院した後も、専門施設への定期通院や自助グループへの参加を継続し、さまざまな支えを受けながら断酒を長期的に継続します。

また、再発防止のために、6ヵ月~1年ほど抗酒薬を服用する場合もあります。

家族、周りの人にできること

家族がアルコール依存症になってしまったら、または、なりそうだったとしたら、手を差し伸べましょう。

アルコール依存症は本人の意思の弱さによってのみ引き起こされる病気でないことが分かっています。絶望している本人の前で、優しい気持ちで接してあげましょう

家族や周りの人から受け取れる安心感や共感によって、自分自身を取り戻す手伝いができます。

「やり直しって何度でもできるものだよ」とか、「いくつか体験談を読んでみたけど、必ず治るものだよ」「入院する初めの2ヵ月は本当に大変だろうけど、長い人生の中でのたったの2か月だよ、入院することが、良い人生経験にもなるかもしれないよ」など、未来志向の言葉を掛けてあげましょう。

アルコール依存症の人が、自分から専門医療機関を受診してみようと思うことは、その必要性を感じていても、また薄々気づいていたとしても、ほとんど行動に移さないということが分かっています。

そこで家族や周囲の人がアルコール依存症の怖さを知り、支えていくことが、治療に向けた第一歩となります。

何かアクションを起こし、背中を押してあげることが出来れば、それは成功に近づいていると言えます。

矛盾しているようにも見えますが、依存症の人は誰かに助けてもらいたい気持ちでいるのです。

まとめ

多くのものは「三日坊主ではダメ」なのですが、

アルコールに関しては、三日坊主オーライです。

アルコールを継続できてきたのなら、他のことに関してもきっと継続できるはず。

負のスパイラルは打ち切って、役に立つ継続を見つけましょう。

体と心が、少しずつ健やかな方に向かっているのを感じる日は近いですよ。