こんな時だからこそ、運動がしたい!
新型コロナウイルスの影響で政府や各自治体からの外出自粛要請が出ているいまこそ、ストレスを思いっきり発散したいですよね。
自宅での筋トレもいいですが、やっぱり外に出て「ランニング」や「ウオーキング」などの有酸素運動をしたいという方も多いのではないでしょうか。
実際、有酸素運動をすると、セロトニンという脳内神経伝達物質が増えるので、精神の安定にもつながるといわれています。
「じゃあ早速やってみよう」
と、思ったアナタ・・・ちょっと待ってください!
自治体などが、「密室」「密集」「密接」の「三密」を避けるよう呼びかているなか、うかつに外で走る行為にはリスクを伴います。
そこで今回は、外で運動する前に何に注意しておけばよいのかについて考えていきましょう。
屋外での運動はやるべき
日本では、新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、避けるべき場所としてスポーツジムが名指しされ、公共の運動施設も相次いで休館に追い込まれました。
そうなると、外で体を動かすのも運動不足解消法のひとつ。
しかし、外出自粛の観点からは、おすすめできない、という声も聞こえてきます。
一方で、最近は違った意見も聞かれるようになりました。
アメリカの複数の医科大学の専門家らによると、「外での運動は基本的に安全」という意見が多く「屋外での活動は、新鮮な空気を取り込めるので、巣ごもりによるストレス発散には効果的」として、むしろ推奨する傾向にあります。
また、日本の「新型コロナウイルス感染症対策の基本的対処方針(2020年4月16日変更版)」においても、屋外での運動や散歩などは健康のために必要とされ、外出自粛の対象となっていません。
つまり、注意さえ怠らなければ「外での運動はアリ」ということになるのです。
では、どんな注意が必要なのか、1つずつ見ていきましょう。
他人との安全なキョリ(1.83メートル)を保つ
全国のフィットネスジムが休館する中、外で走る人は増えています。
とくにランニングの聖地とされる場所や、ジョギングコースを設けた公園などでは多くの人を見かけるようになりました。
そうした現場では、「密集」「密接」になることもあり、個人個人が気を付けて、他のランナーとは距離を置かなければなりません。
では、ランナー同士でどれくらい離れればよいのでしょうか。
こんなデータがあります。
2020年3月8日、新型コロナウイルスの感染拡大が続くなかで開催されたアメリカの「ロサンゼルスマラソン」。
この時、ロサンゼルスの保健当局は、参加者らに対し、互いに一定の距離をとることを求めました。
その距離は最低6フィート(約1.83メートル)。
保健当局は、この基準を守ることで、感染拡大を予防できるとの声明を出したのです。
もちろん、走っているとその距離が保てなくなることもあるでしょう。
あくまで目安ということですね。
その6フィートを参考に考えると、成人男性の片腕の長さの平均はおよそ73㎝なので、両手を広げて人に当たらないぐらいの距離と考えれば良いでしょう。
日本の厚生労働省も、『濃厚接触』の危険性がある距離(ソーシャル ディスタンス)について、「手を伸ばしたら届く距離」としていて、その場合の長時間の接触には注意をよびかけています。
呼吸による感染も要注意
走るときに重要なのが「呼吸」。
有酸素運動は多くの酸素を必要とするため、呼吸も荒くなります。
実は、この呼吸でもウイルス感染が広まるとされています。
2020年4月、アメリカのメディアは、「アメリカ科学アカデミー」が、ホワイトハウスに送った書簡で、くしゃみやせきといった飛沫に加え、呼吸や会話だけでもウイルスが広がる可能性を示した…と報じました。
では、呼吸をたくさんするランニングではどうすればよいのでしょうか?
前述したとおり、人と距離を置くことは守りつつ、それに加えて工夫すべきなのが「走るときのポジション」。
できるだけ他のランナーの真後ろは避けましょう。
ランナーは、向かい風を受けるため、前の人の呼吸が真後ろの人に影響を及ぼしかねません。
距離をあけた上で、真後ろから横にずれたポジションで走りましょう。
ウォーキングも、やはり人の真後ろは避けたほうがベターです。
グループランは避けるべき
サークルや仲間同士で走るのは楽しいですよね。
屋外なので、三密の1つ「密室」には当たりませんが、人が集まることで感染が広がる可能性があります。
結論からいうと、グループでのランニングやグループでのウォーキングはやめましょう。
人が集まることで、感染リスクが拡大することになります。
どうしてもグループで走りたい、歩きたいのであればルールを作ってください。
・ひとりずつ一定の距離を保つこと。
など。
また、ランニング後の接触も避けましょう。
ウイルスは、汗では伝染しないといわれていますが、新型コロナウイルスは未知のウイルスなのでわからないことがたくさんあります。
汗を拭いた手に別の人が触れる、汗を拭いたタオルを別の人が持つ、といった行為にも注意が必要です。
ランニング・ウォーキングする時間を考えよう
これまでの見解からもわかるように、できるだけ多くの人がいる現場は避けるほうが望ましいです。
そこで考えていただきたいのが、ランニング・ウォーキングする時間帯。
例えば、「夜だと人が少ないから」との理由で、遅い時間に外で運動する人がいます。
これは、視界が悪くなるため、事故や犯罪に巻き込まれる危険性があり、おすすめできません。
一方で、昼間はというと、これだけ在宅勤務や学校の休校が広まっているなか、昼間の人出も多くソーシャルディスタンスを保つことは難しいといえます。
なので、できれば朝方の時間帯を選びましょう。
人が少なく、視界が悪くなる心配もありません。
また、朝は、体内の糖が枯渇している状態なので、運動すると、脂質が優先して使われ、脂肪燃焼効果が高まるメリットもあります。
高齢者は「走る」よりも「歩く」
これは、ウイルス感染の直接的なリスクとはズレますが、外で運動する際の注意点として挙げておきます。
若いうちはランニングやジョギングは健康維持のために効果的ですが、高齢になると、走る行為は体に悪影響を及ぼともいわれています。
アスファルトを踏みつけることで膝への負担が大きくなったり、息があがると「有酸素」ではなく「無酸素」での呼吸にもなりかねません。
そういう観点から、高齢者にはランニングやジョギングよりも、ウォーキングがおすすめです。
少し早歩きのペースで行えば、理想的な有酸素運動になります。
では、どのくらい歩けばよいのでしょうか?
たとえば、緊急事態宣言が出ているフランスなどでは、申請すれば1日1時間ほどの外出許可が出ます。
有酸素運動は20分以上行うと理想だとされているので、ウォーキングも、1時間行えば十分と考えてよいでしょう。
また、「1日1万歩を目標にしましょう」といった健康スローガンを聞くことがありますが、これは一般人の目安にすぎません
高齢者の場合は、1日7000~8000歩が理想だといわれています。
つまり、「1時間以内のウォーキングで7000歩を目指す」を目安にしておきましょう。
ランニング・ウォーキング後のケアアも大事
屋外での運動をしたら、感染リスクを下げるため、運動後も十分なケアをしましょう。
・屋外の水道では水を飲まないこと(ペットボトルを持参)。
・帰宅後の手洗い、うがいをしっかりと。
・シャワーも自分で浴び、とくに顔はしっかりと洗う。
・ウイルス付着のリスクを考え、ウエアはすぐに洗濯する。
・シューズも念のためアルコールスプレーなどで除菌。
など、ごくごく基本的なことですが、こうしたことを念入りに行うことが、いまの私たちひとりひとりが背負う「責任」であるといえます。
まとめ
外出自粛が呼びかけられていますが、外での適度な運動、特にランニングやウォーキングを完全に自粛する必要はありません。
大事なのは感染リスクを考えて、注意しながら体を動かすこと。
みなさんもこの方法で、運動不足を解消してストレス発散しちゃいましょう!